群れて暮らす

羊の雑記

けん玉を語る

けん玉は遊ばなければそこで静かにしているだけだ。しかし、その存在感は読まなくなった本よりも大きい。まず、立っている。直立している、しかも剣が玉を支えている。微動だにしない、震度3の地震に耐えられるかもしれない。

 

手に持ってみる、木のぬくもり、軽すぎず重すぎず丁度いい。けん玉で遊ぶ時はイスから立ち上がらなければならない。ベッドで寝っ転がっては遊べない。そこがいい。座りっぱなしはうつを引き起こすと言われている。けん玉があるだけで立ち上がる、うつの要因がひとつ消える。

 

けん玉には色んな技がある。有名なのは玉を大皿に乗せる技。正月によく見るヤツ、初心中の初心。ぼくはもうそんな簡単な技は覚えてしまっている。失敗するのは空腹か寝不足の時くらいだといえるほど上手くなっている。もっぱらぼくがやるのは「ふりけん」とか「飛行機」という技だ、それもだいたいマスターしている。

 

挑戦というよりは暇つぶし。スマホでもいじるが如くけん玉をする。玉が剣にささる、たまに失敗する。ぼくは飽きるまでそれを繰り返す。飽きたらやめる。けん玉はまた静かになる。音を立てず、誰かが再び手に取るまでじっとしている。

 

けん玉の情報は少ない。ここでいう情報というのは「HP」とか「スタミナ」とか「効果」とか遊ぶのに必要なもの。大皿、中皿、小皿、剣、玉、見ればわかる。手に取ればわかる、けん玉と聞くだけでイメージされる。けん玉は頭を使った遊びではないのだ。目で見て手を使い足を使う。感覚遊び、スポーツと似ている。頭の使いすぎだと言われてる現代人にピッタリかもしれない。

 

けん玉で友達はできるか?多分、できない。ネタにはなるがそれ以上はない。けん玉仲間ならできるだろうが人口は少ない。ランニングする人より少ない。アニメを見てるほうが友達はできるだろう。それでも寝転がってスマホをいじってるよりかは充実してるように見える。インスタント麺に野菜を入れるくらい健康的に見える。いつかけん玉が流行ったらぼくはヒーローになれる。「飛行機」が決まる、気持ちいい。


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